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このコーナーでは、写真が撮れたのもから順次紹介していきます。
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哺乳動物相

屋久島は、意外なことに大型動物の種類は少なく、「人2万、シカ2万、サル2万」といわれるように、人とシカとサルの島です。
他に見られる哺乳動物は、イタチ、ネズミ類、モグラ類、コウモリ類だけで、日本の中ではポピュラーなキツネやウサギ、リスといった動物は棲んでいません。
屋久島は、氷河期には九州本土と地続きだったと言われており、シカやサルはこの頃渡ってきったと考えられています。キツネやウサギがこの頃渡ってこなかったのか、はたまた渡ってきたものの、何らかの理由で絶滅してしまったのかは、謎とされています。その中で、今から7300年前の鬼界カルデラの大爆発が、多くの生き物にとってカタストロフィーをもたらしたことが、動物相に何らかの影響を与えている可能性が注目されています。



霊長目

ヤクシマザル(Macaca fuscata yakui)

屋久島の照葉樹林帯を中心に全島に分布している。
その数はおよそ1万頭前後といわれている。
ニホンザルの亜種として本土のものと区別されており、小型で毛が長くて黒っぽい等の特徴がある。
西部林道の周辺は生息密度が高く、餌付けザルではない野生の本来の姿が、まじかに観察できる。この近辺では、京都大学を中心とした多くの研究者が、長年にわたって調査を行っており、餌を与えるなどして野生の生活を破壊しないよう注意しながら、そっと観察しよう。
近年は、果樹園を荒らす猿害も大きな問題となっている。


偶蹄目


ヤクシカ(Cervus nippon yakushimae

 屋久島全島に分布しており、近年観光客慣れし、あちこちで普通に目撃できるようになった。 西部林道周辺は密度が高く、近年とみに増加しているような気がする。
 ニホンジカの亜種として最小で、雄シカの角が通常3尖どまりであることが特徴(写真上)。1才の雄の角は、瘤のような短いものとなる。
 白谷雲水峡のシカの食べ物を調べた所、目立つものは、本土では食べないといわれている樹木の食痕ばかりで、むしろもっぱら落葉拾いをしているようである。ひょっとすると美味いものは、既に食い尽くしてしまったのかもしれない。
 夏毛は写真上のように明るい茶色で、鹿子模様がある。冬毛は写真下のように、グレーがかった焦茶色となり、鹿子模様は消える。
 また、シカは繁殖期の雄による雄叫び、警戒音、通常互いに呼び合う地声など、いくつかの声を持っている。

詳しい生態はヤクシカおもしろ生態図鑑をご覧下さい

 シカの地声(MP3:94kb)
イノシシ(Sus scrofa

15年ほど前、一湊の海水浴場の休憩所で昼食を食べているとき、県道の向こうの草地に、一頭のイノシシが現れ騒然となった。慌てて撮った一枚がこの写真だ。逃げたとか逃がしたとかいう噂があったが、実際に歩いているのを見たのには驚いた。屋久島にはいないとされていたイノシシだが、その後どうなったものやら、姿は見ない。
イノシシは九州本土や奄美・沖縄に分布するにもかかわらず、屋久島・種子島には分布しないとされている。この空白は、やはり幸屋火砕流の影響なのだろうか?
ヤクシマヤギ(Capra hircus

各地の動物園に飼われている小型のヤギ。
残念ながら屋久島での生息は、確認できていない。
トカラヤギと同系列の東南アジア島嶼系のヤギと思われるが、動物園のものも雑種化が進んでいるようだ。
詳しくは有象無象コーナーのヤクシマヤギのページをご覧ください。

撮影 加藤優子氏


翼手目

コテングコウモリ(Murina ussuriensis

半山の森の中で、古いキツツキの穴を覗いたら、中から小さな毛玉が1個出てきた。
一瞬ヤマネかと思ったが、ヤマネは屋久島には棲んでいない。なんと羽をたたんで丸くなったコテングコウモリであった。
コテングコウモリは西南日本ではあまり記録が多くない。
屋久島にも記録はあるものの、1940年のもので、最新の哺乳類図鑑には、分布地としての記載がされていないようなありあさまである。貴重な映像かもしれない。
冬場の渡りでやってきたのかもしれない。

1997/12/28 撮影 山岸氏
キクガシラコウモリ(Rhinolophus ferrumequinum

白谷の岩屋の天井に1匹のキクガシラコウモリがぶら下がっていた。羽の間から覗く、独特の形をした鼻から、超音波を発信しているようだ。ライトで照らすと、小刻みに震えているように見えたが、羽があるくせに全く逃げようとはしなかった。

1998/10/19
コキクガシラコウモリ
モモジロコウモリ(Myotis macrodactylus

白谷の岩屋で、秋にはこのあたりにキクガシラコウモリがぶら下がっていることがあると指さしたその先に、見かけない黒い固まりが目に入った。親指大の黒い固まりは、よく見ると足と羽の爪で天井にしがみついている小さなコウモリであった。これまで屋久島では確認されていなかったコウモリで、大学の先輩でコウモリの専門家である奈良教育大の前田喜四雄さんに写真を送ったところモモジロコウモリと教えていただいた。最近徳之島で確認されたそうで徐々に南西諸島での分布が確認されつつあるようです。普通は洞窟で100頭以上のコロニーを作るそうだが、ここでは1頭で寒そうでした。

2007/3/23
ユビナガコウモリ(Miniopterus fuliginosus

田代海岸の海食洞にはコウモリが多く棲む巨大洞窟があります。
その中には、ユビナガコウモリの大群がコロニーを作っています。
毎年この洞窟で繁殖もしているようで、夏には子供抱いているものも見ることができます。
この洞窟には、他にもキクガシラコウモリやモモジロコウモリが棲んでいます。

ずっとアブラコウモリだと思っていたのですが、2010/9/5のDavid Hill氏の講演で屋久島にユビナガコウモリがいることを知りました。洞窟に群居する姿は、まさにユビナガコウモリです。
アブラコウモリ(Pipistrellus abramus

湯泊の仁賀野の浦にある4連海蝕洞窟の一つに、コウモリ洞窟がある。
といっても地面に糞塊が盛り上がっているだけで、今までその姿を見たことはなかった。
5/25シーカヤックでこの入り江を訪れた際、ついに1頭のコウモリを発見!
糞塊の量からすると、もっとたくさんいても良さそうなのだが・・・
アブラコウモリは、家屋でコロニーを作ると言われているが、屋久島では、橋の下や洞窟にアブラコウモリのものらしい糞塊を見かけることが多い。
アブラコウモリはもっぱら家に棲むということなので、ひょっとするとこれはユビナガコウモリかもしれません。ごめんなさい。

2000/5/25川鍋さん(写真提供)

ノレンコウモリ


食肉目

コイタチ(Mustela itatsi sho

いつの頃からか、高橋家、屋根裏で何かが駆け回る激しい音がしており、ジョー以外の猫がネズミを追っかけてるのかしら?とか、座敷わらしに違いない!とか想像を膨らませていた矢先の出来事でした。
奴もびっくりしていましたが、私も悲鳴をあげました。
食器戸棚に追い詰め、扉を閉めるとシィ〜シィ〜と息を吐きながらの低い唸り声?をあげておりました。
どうやって捕まえてやろうかと思考錯誤。その時間は推定2時間!
暗くて狭い空間で怖かったのか、食器をひっくり返して暴れたりもしてました。
戸棚の扉を少し開けて、そこを網で塞いで・・と緊急捕獲装置を作成。
そうして反対の扉からコショウ爆弾を投入したら見事に網に飛び込んできました。しかしまさかかかるとは思っておらず、驚いていたら逃げられてしまいました。
その夜、再び台所に奴は現れましたが、私と目が合うなり一目散に天井に逃げ帰ってゆきました。そして、屋根裏で今も聞こえるこの足音はきっと奴に違いないと思っています。(笑)
(その横でジョーは耳だけピクピク動かしてのびてます)

下は西部照葉樹林のコイタチ。
2018/05/24
タヌキ(Nystereutes procyonoides

サル川ガジュマル近くの県道で、タヌキの死体を拾った。
近年こうしたタヌキの目撃例が増えている。
胃内容物を調べたところ、昆虫、鳥、カニ、草の実の種子などで一杯で、残飯などの人為的な食べ物は見うけられなかった。
このことからも屋久島でタヌキが野生状態で暮らし定着していることが伺える。

1999/11/19

ヤクイヌ(Canis familiaris

屋久島で広く飼われている猟犬タイプの犬。
手足がすらりと長く、ウエストがきゅっと締まって、見るからにスマートである。耳は大きく、ピンと立ち、尾は日本犬のように巻かない。
毛が非常に短く、南方系を感じさせる。ちなみにボルネオの狩猟採集民プナン族の人たちが連れていた猟犬が、ヤクイヌとそっくりであった。
優秀な狩猟犬で、鹿やキジを嗅ぎ分けると、一目散に追いかけていく。
残念ながら雑種化が進み、純血のものは見ないが、今でも島ではヤクイヌの血を引くと思われる犬が多い。(写真は市川家のゆめちゃん)

ヤクシマノネコ?(Felis Catus

2012年4月25日、西部林道でたくましく生きるノネコを目撃しました。
豹柄に縞模様で太いしっぽは、まるで山猫のような出で立ちです。
ヘビをくわえて、人から逃げていく姿は野生そのもの。
いつか本物の山猫になれるのでしょうか?
写真は、サモアから研修に来たMarita嬢が撮影しました。


食虫目

コウベモグラ(Mogera robusta

永田の農道でモグラがうずくまっていた。まだひくひくしていたので、土の上に逃がしてやったが、無事生き返ったかどうだか。
屋久島のモグラは、かつてはヤクシマモグラと言われていたが、近年は本州中部以南、また大陸に広く分布するコウベモグラにまとめられている。最大の特徴は、上の門歯が円弧状に並ぶということらしいが、YNACの標本の頭骨を見ても、今一つピンと来なかった。

1998/4/26
ジネズミ(Crocidura dsinezumi

名前も姿もネズミのように思えますが、どちらかというとモグラに近い仲間です。頭骨はネズミのような門歯とモグラのような切歯があり中間的に見えます。
昔は犬の散歩の途中に死体を見かけることも多かったが、犬が死んでからはすっかり見かけなくなってしまいました。
写真はヤクスギランドで雨の日に林床を歩き回っていた個体です。
生きているものを見るのは珍しいです。


齧歯目

アカネズミ
ヒメネズミ(Apodemus argenteus

屋久島の山では、意外とネズミを見ることが少ない。
イタチの糞などにもネズミの骨が入っていることはほとんどない。
その中で、このヒメネズミは、山小屋で食べ物を荒らしたりして、時々登場するネズミだ。尻尾がとても長くかわいらしい。

1999/11/27

ハツカネズミ(Mus musculus)

ペットか実験動物と思われていることが多いようですが、元は世界中に生息する野生のネズミです。あのミッキーマウスも実はハツカネズミがモデルとなっています。
屋久島では滅多に見ることはできません。2013年4月27日に、ようやく西部半山の段々畑で撮影に成功しました。ちょこちょこと飛び回るようでした。
クマネズミ
ドブネズミ

番外編
クジラ目
ザトウクジラ(Megaptera novaeangliae

2010年4月7日14時33分、西部半山沿岸にザトウクジラがやってきました。
突然バッシャーンという轟音が響き、巨大なクジラが上半身を海面に打つけました。
しばらくこの半身ジャンプを繰り返したあと、今度は反転して向きを変え、しっぽで水面をバシャバシャと繰り返し叩きました。
最後には、全身が水面から躍り出るような大ジャンプを1発して、ゆっくりと北へ向けて泳いでいきました。まるで我々の前でクジラショーを見せてくれたかのようでした。強風をつき海から聞こえてくる水音がすごい迫力でした。
沖縄あたりで繁殖したクジラが北極方面へ回遊する途中なのでしょうか?大きなクジラに寄り添って、潮を吹く子クジラも一緒でした。
いつもこんな風に岸辺からクジラが見えたら、素敵でしょうね。でも屋久島でクジラを見たのはこれが初めてです。

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動画を見る(ヘッドスラップ)
動画を見る(テイルスラップ)

2010/4/7