屋久島のツバキは、そのリンゴ大で熟れると赤く色付く実からリンゴツバキと呼ばれ、日本原産で本州に一般的なヤブツバキの変種として扱われています。屋久島にしかない、と言う人や、四国太平洋岸、九州南部、沖縄にもあると言う人もいて、分布は曖昧ですが別名ヤクシマツバキとも呼ばれます。要するに、屋久島には普通皆様目にするツバキよりもっとでっかい実をつけるツバキが多いのです。でも、中を覗くと種の部屋は…。そう、写真をご覧の通り、実のほとんどが果皮なので、決して種が大きいわけでも椿油が沢山とれるわけでもないのです。何だか無駄が多そうですね。
我々にとっては油にもならない厚い果皮。でも、ツバキにとっては大事な種を守る“鎧”になるのです。その鎧に諸刃の矢を立てるのは動物の牙? よりむしろ、小さな“虫”によるところが大きいと言われています。象のような長い鼻?ではなく、長い口を持ち、その出で立ちが鳥の“シギ”を思わせるツバキシギゾウムシ。彼らは自慢の口先ドリルで硬いツバキの果皮に穴を開け、完成前の種に卵を産み付けます。当然生まれた子供達は脂肪分豊富な種を餌にすくすく…。このままではツバキの子孫(種)が危ない!!そこでツバキは考えました。「鎧をもっと厚くしたらゾウムシの口が種まで届かないのに…」 そうして開発された厚い鎧をまとったのが、あの大きな実をつけるリンゴツバキだったとか…
その真偽は今も尚研究が続いているようで、ゾウムシ側も対抗手段で口吻を長くしちゃおっかなぁ…なんてことも言われています。いずれにせよ、そんなイタチゴッコが現実に起こったとしたら、生き物の進化っておもしろい!!ですね。(おかだい)
YNAC通信14号掲載
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