生きている切り株
上の切り株、何か少しおかしいと思いませんか?
通常木は、伐採すれば死んで腐ってしまいます。切り株は当然樹皮がはげ落ち、ぼろぼろになって来るはずです。
ところが上の切り株は、皮がはげ落ちるどころか、盛り上がって切り口をふさごうとしています。
見ればわかりますが、この切り株には枝葉がなく、光合成をしていません(右写真の切り株の上の葉っぱは着生している植物です)。不思議なことに光合成をしないで生長を続けているのです。
この謎には、樹木学という本の中に答えがありました。 |
写真上左は、生きている木のすぐ近くに切り株がある、屋久島でよく見かける風景ですが、よく見ると写真上右のように、根が繋がっています。切り株のこちら面は腐ってボロボロですが、根が繋がっている側では、まだ一部樹皮が残り生きているようでした。
このように地下で根どうしがつながりあい、生きている木から切り株へと光合成生産物が供給され生き続けることがあるようです。いわば寄生切り株といいても良いでしょう。
樹木学には、こうした根によるつながりや、菌根を介したつながりにより、切り株が生き続けることがあると書いてありました。
しかし屋久島の切り株は奥が深い。 |
なんと不思議なことに、切り株の上から根が生えているものがありました。
樹皮がはがれ落ち、どうみても死んでしまった切り株ですが、その切り口の上からちょんまげのように根が垂れています。
なぜこんなところから根が生えたのでしょうか?
ところで10月からNHKの朝の連続テレビ小説「まんてん」で屋久島が舞台となっています。
主人公の満天は、よく秘密基地と称する屋久杉のうろに行くのですが、その途中でこの謎の切り株の脇を通ります。屋久島の森は切り株だらけなのですが、この切り株は、超個性的なので見間違うものではありません。
「まんてん」の秘密基地へ行くシーンでは、是非注目してご覧下さい。 |
新着情報 |
樹木医ガイドさんより(2004/2/27)
切り株について 杉植林地の間伐地において地上部を切り取られても地下部が癒合し
ている場合が時々見かけられ かような木に成ることがあります。師部組織の養分の流動については研究していませんので分かりませんがいずれにしても他の木と根っこでくっついています。
植物は、同属以下の近縁な種であれば比較的容易に形成層の癒合が起こり接木が出来ます。属を飛び越えての接木は聞いたことがありません。たぶん無理だと思います。
それから寄生と言うよりは地上部の葉っぱ等に根から養分を供給しているのですからむしろ共生に近いと思います。
芽が出ないということについては、針葉樹の多くは樹皮上に不定芽を持っていないため地上部の芽細胞がなくなると必然的に枯れます。
根に癒合についてはそんなに頻繁に起こることではないので個人的な意見として定根組織(杉の定根は6本だったと思う)の癒合ではないかと考えています。不定根組織の癒合では伐られた木部の成長が発達しないと考えられ無理がありますます。 |
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