屋久島の謎


落ち葉のたまらない空間

屋久島西部の半山には、あちこちに開拓の住居跡が見られる。
半山川左岸の台地にある住居跡には、大きな掘っ建て柱が残されている。
不思議なことに、この大黒柱を思わせる木の周りには、なぜか落ち葉がたまらない。
決して柱を中心にマウンドのように盛り上がっているわけではない。写真で言うと右下から左上にかけて緩やかな下り斜面となっている。
周囲に分厚く落ち葉がたまっている様子を見ると、なぜここだけ落ち葉がたまらないのか不思議でならない。
落ち葉がたまらないせいか、この柱の周りは地面が苔むしていて、なんとなく神々しい雰囲気を醸し出している。
さてこの柱に何か不思議な力が宿っているのでしょうか?

その後の考察
ちょっと発想を変えてみたら、答えが見えてきました。
森の中を見ると、一様に落ち葉がつもっているように見えます。
しかし身近なことを考えてみると、家の周りでは、落ち葉は吹きだまる所と吹き飛ばされ所に分かれます。
一様に積もっていることこそが不思議なことではないのでしょうか?
森の中は、木々が風から守ってくれるからだとも考えられますが、屋久島の強風で、森の中の落ち葉が飛ばされないということは、少し無理があります。
それではなぜ森には一様に落ち葉が散らばっているのでしょうか?

森の中の落ち葉を拾ってみると、上の写真のように糊で貼り付けたようにくっついています。
これは土の中に棲む落ち葉を食べて暮らしている菌類が菌糸で捕まえているものと考えられます。
つまり森の中では、豊富な菌類が落ち葉が落ちてくるのを待っていて、すかさず捕まえてしまうので、落ち葉が飛んでいかないものと考えられます。
その証拠に、森の中に一様に落ち葉が落ちているような気になっていましたが、よく見ると岩の上には堆積しています。
菌類が生息できない岩の上では、誰も捕まえてくれるものがいないので、落ち葉が風で飛ばされてしまうからです。
「落ち葉のたまらない空間」の柱のまわりは、どうも土間だったようで、固く岩のように踏み固まれています。
それで菌類が生息できず、風で落ち葉が飛ばされてしまうものと考えました。
いかがでしょうか?