自然情報

ヤクシカおもしろ生態写真館

 このコーナーでは、ヤクシカの知られざる生態を、写真を通して紹介します。
目次


食べ物
食べ物(アブノーマル編)
恋と闘い
サルとの関係


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ヤクシカの食べ物(アブノーマル編)


 食べ物が不足がちな屋久島では、思わぬものを食べたりするのを見て、驚かされることがあります。
 上の写真は、クワイズイモのしおれた葉を食べているところです。 
→動画を見る
 クワスイモは強い毒を持っていて、かつて宮之浦の某ホテルで焼き魚の下にこの葉を敷いて出したところ、食べた客が3日ほど入院するという騒ぎがありました。しおれたら毒がなくなるのか、試してみる勇気はありませんが、普通は考えられません。
 この他にもマムシグサやワラビなどの毒草も食べ始めているようです。
 食べているのは植物ばかりではありません。このオスジカがくわえているのは、シカ角です。
 コリコリ言わせながらしゃぶり、一番根元の角座の所までしゃぶり尽くしてしまいます。
 これだけ多くのシカがいるのに、意外とシカ角を拾わないのは、こうしてリサイクルで食べられてしまうからのようです。
 他には、骨もカリカリ言わせて食べてしまいます。といっても共食いしているわけではありません。肉は食べないと思います。
 屋久島の水は超軟水といってミネラルがほとんど含まれていません。そうした水で育つ植物にもミネラルが少ないのかもしれません。ヤクシカはミネラル補給に苦心しているのでしょうか?
 このような角や骨を食べる習性は、馬毛島や野崎島などでも見られるようです。
 花之江河では、なんとヒキガエルを食べています。
 2008年4月、花之江河で蛙合戦が行われている頃、ヒキガエルをくわえて、ブンブン振り回しているシカの姿を目撃した人がいます。生のヒキガエルを喰っていれば、シカの肉食というショッキングな出来事です。
 ただ喰われているのは、手足が中心なので、今のところは、蛙合戦のどさくさで死んだヒキガエルの死体の干物を、骨を囓る感覚で食べているのではないかと思っています。
 いよいよ食料に窮したか最近の西部のシカの情けないのは、サル糞を食べることです。
 以前は西部林道を歩いているとよくサル糞を見かけたものでしたが、最近は道でサル糞を踏みかけることもなくなってしまいました。
 写真は、ちょうど我々の頭の上でサルが糞をした時のものです。こちらはあわてて避けたのですが、こちらをじーと見つめるシカがいます。これはと思い、少し離れて様子を見ていると、案の定やってきて、ぺろりと食べてしまいました。その後舌をペロペロ出していたのは、さすがに臭いせいなのか?
それにしてもプライドというものはないのでしょうか?

 
 アブノーマルの極めつけは、鉄棒食いです。実に熱心にいつまでも囓っていました。
 鉄分が必要というと、やはり貧血ですよね。
 シカに貧血があるのかどうかはわかりませんが、熱心に囓っていたのは袋角のオスジカです。袋角はほとんど血液でできていると言われています。角を大きく育てるためには、しっかりと血を作ることが重要です。
 鉄棒が貧血によいことをシカが知っているのかどうかはわかりませんが、夏場の角喰いや骨喰い、樹皮喰いなども、角作りのためのミネラル補給が目的なのかもしれません。
 こうしてヤクシカの食べ物を見ていくと、結構苦労していることがわかっていただけるのではないでしょうか?最近はついにサルの糞まで食べる奴がでてきています。
 でも可哀想だからといって餌をやったりしないで下さいね。人間に依存する堕落したシカになってしまいます。
 写真はヤクスギランドの入口で、山開きの神事に撒かれた米粒を拾って食べているロバート君です。
 最近は山小屋などにも餌付いたシカがいます。みんなで野生のシカの暮らしを守りましょう。